いつの時代も「積小為大」 その一

清水の記憶

 昨年の日経平均株価は10月4日の24242.06円から大納会の19957.88円まで、3ヶ月足らずで20%近く急落し、 7年振りに下落で取引を終えた。 持ち株シェアはヘッジファンドなどの外国法人が30%、金融機関が29%、事業法人が23%、個人その他が18%となっている。

 この中で積極的に売買をしているのは外人投資家と日銀のETF買いであり、昨年一年間に外人投資家が5兆1876億円を 売り越しているのに対して、日銀のETF買いは、これを上回る6兆4493億円に達している。 大量の日銀によるETF買いにも拘わらず、年初から年末までで2751円(12.1%)もの下げだったことから、 国策とも言える日銀によるETF買いがなければ1万円台に下落していたであろう事は想像に難くない。

 株価水準を表す指標の一つであるPERは、昨年12月28日現在で11倍台前半まで低下したことから、 株価水準の割安間を強調し買いを進める株式評論家が増えている。しかしながら、これは本年度上半期までの収益水準が今期下半期や来年度まで継続することを前提としたものであり、昨今の混沌としつつある世界情勢から見ると、先行きを楽観視する事はとてもできない。

 株式投資をしていれば「エリオット波動」に接する機会も多いのではないだろうか。上昇5波、下降3波で構成されるエリオット波動であるが、現在が「波動のどの位置なのか」を見極める事がとても重要である。まさか上昇第2波と考えている投資家はいないだろうが、上昇第4波で更なる株価上昇があるのか、下降第1波で先行き最後の山が来るのか、それとも既に下降第3波の局面でこの先下げ続けるのか、判断に迷う所である。

 米中貿易戦争は言い換えればトランプ大統領と習近平国家主席の対立であり、次期大統領選挙でトランプが交代する事で、この貿易戦争は終結する。との見方があるが、これは大きな誤りであろう。

 米国内では、トランプが大統領に就任する以前から中国脅威論が高まっていた。第二次世界大戦後、一貫して世界の覇権を握ってきた米国の地位が、急速に国力を高めつつある中国によって脅かされるとの予測からである。

 中国製造2025とは、2025年までに中国の世界の製造強国入りを果たす事。
 中国2050とは、2050年までに中国を世界を主導する大国に引き上げる事。

 これらの野心的な国家方針を公言して憚らない習近平国家主席の言動が、米国の中国脅威論をより深刻なものに押し上げた。トランプ大統領よりも米国の上院下院の両議会の方が、中国に対しては強硬な姿勢を取っている。

 アメリカンファースト、自国第一主義を唱えてはいても、それは米国が世界で圧倒的なナンバーワンの地位を保っていられる事を前提としての主張であり、覇権を他の国に握られた状況下での孤立は衰退を招くだけである。その事は当の米国自身が良く分かっている。

 米中冷戦はこれから何十年も長く続いて行くであろう。その先鋒が米中経済戦争である。両国による輸入関税の発動に関しては、対米貿易で輸出超過の中国が不利である。中国国内の経済もピークを過ぎたと見られる。第一ラウンドは米国の勝利と言ったところか。

 米国がファーウェイ(華為技術)の通信機器を使用しないと決め、欧米各国を中心に協調する動きが急速に高まっている。「ファイブアイズ」とは、諜報活動に関する「UKUSA協定」を締結している米国、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのアングロサクソン5ヶ国の総称であり、ファーウェイ製の通信機器について、各国の第5世代(5G)移動通信網から排除する方針を表明している。

 日本はファイブアイズ各国と協調関係にあるが、中国とは隣国である事情もあって、ファーウェイ製の通信機器を排除すると表明するには至っていない。しかしながら、「悪意ある機能」が組込まれた情報通信機器は調達しない事を申し合わせ、実質的に歩調を合わせている。

 ファーウェイ、中国語で華為技術、正に「中国の為の技術集団」である。自由主義に比べて中国のような全体主義を取る国家の方が、無駄がないだけに明確な目標に到達するスピードが早いのかもしれない。

2019年(平成31年)1月1日

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