いつの時代も「積小為大」 その二

清水の記憶

 第二次世界大戦が終了した時点で、米国のGDPは世界の半分を占めていたのが、昨今では4分の1程度にまで減少してきている。かつてのような余裕はなくなり、世界中に兵力を展開する経済力が窮屈になってきている。

 移民問題でも、自らの生活レベルを落とす事なく不法移民を無制限に受け入れるだけの財政的余裕がなくなってきているのである。米国内にも移民制限に反対する国民が多くいるようであるが、自身が享受している現状の豊かさを犠牲にしてまで移民受け入れに賛成なのか、問うてみたいところである。

 さて、今年の株式市場であるが、小生は裁定取引専門なので、株価が上がっても下がっても、基本的に収益には影響しない。しかしながら、あまりに一方向にばかり動くと「サヤ」が出来難くなり、仕掛ける機会が少なくなってしまうので、適当に波打ちながら推移して貰えると有難いのだが。

 リーマンショック後の金融恐慌を防ぐために、各国は中央銀行を通じて市場に大量の資金がばら撒いたのだが、その回収もままならない内に景気のピークを迎えつつある世界経済は、これからどうなって行くのだろう。そして、市場から逃げ出した資金は何処に向かうのか。

 市場価値以上に上げた中国の不動産はとっくにバブル崩壊状態である。このところ、上海の夜の街が以前に比べて暗くなってきているという。高層建物に空き部屋が増えて、明かりが灯らなくなってきているそうだ。政府の指示で不動産売却が制限されている事から、価格だけは暴落を免れているようだが、不動産の受給バランスは何年も前に崩れている。

 原油価格は昨年10月に75ドルを超えていたものが、年末には45ドル台まで下がり、3ヶ月足らずで40%も急落した。米国によるイラン制裁に多くの国が協調し、イラン原油の禁輸制裁を実施する最中での原油急落は、何を暗示しているのであろうか。過去の経験則では、原油が大きく下げた後には世界的な景気後退が生じている。今の水準からさらに下げて20ドル台になるようだと世界経済に赤信号が灯る。

 一方向に向かう相場の方が、流れに乗る事が出来れば、裁定取引に比べて利益はケタ違いに大きく膨らむが、その分リスクも大きい。リーマンショックから10年、そろそろ次の崩壊が発生してもおかしくない時期に差し掛かってきた。

 エントロピー増大の法則。不確実性が増してきた時代は、これまで以上に慎重な対処が肝要である。多利を求めずコツコツと「積小為大」、小を積みて大と為す。どんな時代でも小生の基本原則は同じである。

2019年(平成31年)1月1日

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